NHKプロフェッナル・イチロースペシャル

1月2日、NHKの人気番組であるプロフェッショナルが正月特番としてイチロースペシャルを放送していたので見た。結構、プライベートにまで踏み込んだ内容だったし、野球に対する具体的な取り組みについても取材されていて見応えがある内容だった。番組を見終えて思ったのは、改めて彼はプロだということ。そしてプロでありながらアーティストだ。まずアーティストだと思ったのは、厳しいプレーや練習において「楽しさ」を重要視している点。背面取りなんかは完全に遊びかと思っていたが、目を離してしまっても飛球を捕れるための「訓練」が第一であり、その次に遊びの要素もある程度あることなんかはとても面白い考えだと思った。
 あと、日本で若くして1シーズン200安打を達成した後は、周囲から打って当たり前、首位打者を取って当たり前という圧力が強くなりイチロー自身が野球を楽しめなくなって、米国大リーグに移ったというのも興味深い。ただ、単純に高いレベルで野球をしたかっのが第一かと思いつつ、圧力から逃れることをイチロー自身が強調していたな。ただ、米国でも実績が出せるようになれば、日本での「打って当たり前」のような圧力がかかってしまうのは仕方ないかとも思う。結局、2007年のイチローのテーマはそういった圧力から逃げるのではなく正面から向き合うと言い切っていたことからも、圧力は加わり続けていたのだろうと推測する。ただ、気になるのは日本と米国での圧力に「違い」があるような表現をイチロー自身が言っていたことだ。米国は結果のみが求められるという言い方であったが、日本での「打って当たり前」とどう違うのだろうか?日本では結果「以外」の違いがあったのだろうか?その辺をもっとつっこんで取材してほしかった。
あと、観客に対するイチローの認識がすごかったな。「彼ら(観客)は彼らの人生の一部を捧げて球場に来てくれている。彼らがいなかったら僕も存在できない」というのは、なかなか言えないと思う。同じことをいえる選手が多くいるとはとても思えない。
 今回は2007年シーズンでのイチローということでの取材だったが、できれば2006年のWBCで見せた「日本代表」に対する想いを聞いてほしかった。彼の日の丸を背負った日本代表としてのプレーには魂を感じたものだ。普段、クールな男のイメージがあるイチローがあれだけ熱いプレーを見せた舞台裏をぜひとも見たかった。